人気漫画を原作に、学園という日常の舞台で展開される心理サスペンス映画
『遺書、公開。』
序列という一見シンプルな仕組みが、次第にクラス全員の心と関係を崩壊させていく。
あなたの「普通」はどこまで信用できるだろうか?
この作品は、現代を生きる若者たちの不安と孤独、そして集団心理の恐ろしさを鋭く描き出す。

※本ページはネタバレを含みます。
※本ページはプロモーションが含まれています。
作品概要
公開日:2025年1月31日(金)
監督:英 勉(『東京リベンジャーズ』シリーズなど)
脚本:鈴木おさむ
原作:陽 東太郎『遺書、公開。』
配給:松竹/HIAX
上映時間:約120分
ジャンル:学園ミステリー/サスペンス
主な出演者 キャスト
キャストを「序列順に」紹介します。
| 序列 | 役名(演者) | キャラクター解説 |
|---|---|---|
| 1位 | 姫山椿(堀未央奈) | 誰に対しても分け隔てなく接するクラスの中心人物。学級委員長として皆をまとめる存在で、まさに“理想の優等生”。 |
| 2位 | 赤崎理人(松井奏) | サッカー部所属。成績も運動神経も優秀で、姫山の恋人。爽やかな人気者タイプ。 |
| 3位 | 御門凛奈(高石あかり) | テニス部で姫山とダブルスを組む親友。明るく社交的で、常に姫山のそばにいる存在。 |
| 4位 | 笹井夏月(上村海成) | 周囲を冷静に観察しているタイプ。姫山とは一定の距離を保ち、客観的な立場を貫く。 |
| 5位 | 大島由梨(川島鈴遥) | 強いリーダーシップを持ち、姫山以前は学級委員を担当。内に秘めた対抗心も感じさせる存在。 |
| 6位 | 沖 正彰(荒井啓志) | 学級委員として姫山と共にクラス運営を担う。誠実で責任感が強い。 |
| 7位 | 横山嵐(松本大輝) | 陸上部のエース。スポーツも勉強もできる万能型で、クラス内の評価も高い。 |
| 8位 | 栗原瑞希(星乃夢奈) | テニス部所属。姫山・御門と行動を共にする仲良しグループの一員。 |
| 9位 | 熊田碧(榊原有那) | さっぱりした性格で、思ったことははっきり口にするタイプ。決断力がある。 |
| 10位 | 甲斐原誠(忍成修吾) | 2-D担任教師。序列メールや遺書騒動を悪質な悪戯だと考え、事態の沈静化を図る。 |
| 11位 | 三宅雄大(藤堂日向) | いつも明るく、場の空気を和ませるムードメーカー的存在。 |
| 12位 | 森本蘭(菊地姫奈) | 正義感が強く、茅野と親しい。曲がったことを嫌うまっすぐな性格。 |
| 13位 | 茅野鞠華(大峰ユリホ) | 物静かな美少女。少女漫画のような恋愛に憧れるロマンチスト。 |
| 14位 | 津島航(阿佐辰美) | 体育祭実行委員。熱血タイプで仲間思いなスポーツマン。 |
| 15位 | 谷地恵(兼光ほのか) | バドミントン部所属。偶然知った姫山の秘密をきっかけに、彼女と特別な接点を持つ。 |
| 16位 | 千蔭清一(宮世琉弥) | 感情をあまり表に出さない冷静沈着な人物。皮肉な発言で場を揺さぶる存在。 |
| 17位 | 相畑詩帆(日高麻鈴) | 漫画「花カレ」の愛読者。姫山が1位になる以前は親しい関係だった。 |
| 18位 | 名取恭四郎(大東立樹) | 将棋部所属。笹井と同じく姫山とは距離を置くスタンス。 |
| 19位 | 池永柊夜(吉野北人) | 鉄道好き。廿日市や名取と行動を共にすることが多い。 |
| 20位 | 廿日市くるみ(志田彩良) | 人間観察が趣味で、冷静に他人を分析する独特の視点を持つ。 |
| 21位 | 峠谷陽茉莉(金野美穂) | 相畑・沢渡と仲良しグループ。姫山をやたらと称賛する発言が目立つ。 |
| 22位 | 沢渡すずこ(鈴川紗由) | 控えめで目立たないタイプ。目立つ存在ではないが、物語に静かな影響を与える。 |
| 23位 | 黒瀬蓮司(浅野竣哉) | やや陰のある性格。クラスの噂話やスキャンダルに強い関心を持つ。 |
| 24位 | 絹掛愛未(青島心) | 1年次から不登校気味。2年になってからは一度も登校していない謎の存在。 |
| 25位 | 山根裕基(楽駆) | 屋上を居場所にするマイペースな生徒。どこか達観した雰囲気を持つ。 |
全編ストーリー(あらすじ・ネタバレあり)
4月8日、私立灰嶺学園の始業式の朝。
クラス替えされた2年D組の生徒と担任・甲斐原誠のもとに、突如「2-D序列」と書かれたファイルが送られてくる。
そこには担任を含む25人全員の名前が、1位から25位まで順位付きで並んでいた。
担任の甲斐原は「学校が送ったものではない。ただの悪戯だ。気にするな」と諭す。
だが、自己紹介の場で、序列で1位と書かれていた姫山椿に向けて「1位コール」が起きる。
姫山は微笑みながらこう答える。
「1位に相応しい人間になるように頑張ります」
その堂々とした言葉に教室は笑いと拍手に包まれる。
この瞬間から、序列そのものよりも「1位・姫山椿」という存在がクラスの中心になっていく。
突然の死
それから約半年後の10月17日。
昼休みが終わっても姫山は教室に戻らない。
姫山は女子トイレで首を吊って死んでいた。
2年D組の生徒たちが葬儀に参列して学校へ戻ると、全員の机の上に遺書が置かれていた。
死んだ姫山が配れるはずはない。
誰かが持ち込み、机に置いたのだ。
担任は「悪質な悪戯だ」と回収しようとするが生徒たちは反発する。
「これは椿からの最後のメッセージだ」
「公開しよう。自殺の理由が分かるかもしれない」
遺書公開 暴かれる本音
赤崎理人(2位)
「理人は本当に優しくてかっこよくて自慢の彼氏。でも私は自慢の彼女になれたかな?」
姫山の恋人だった赤崎。
しかし後に、彼がB組の白川に「1位の女を落とせるかという挑戦」と言っていた事実が明らかになる。
姫山はそれを知っていた。
茅野鞠華(13位)
憧れていると言いながら、実は姫山を通して赤崎と近づいていた。
横山嵐(7位)
「尊敬している」と書かれていたが、彼は言う。
「姫山のテストは普通だった。成績が落ちたから自殺したのでは?」
谷地恵(15位)
姫山の両親が離婚したことを知り「15位の自分が1位の人の秘密を知れたこと」に興奮して周囲に言いふらしてしまう。
また、姫山の脇腹の痣から「母親の虐待では」と勝手に推測するが、それは部活中に出来たものだった。
沢渡すずこ(22位)
姫山と共に、赤崎の本音を聞いていた。
相畑詩帆(17位)
序列を気にし、「上位と下位は違う」と姫山を拒絶していた。
津島航(14位)
「1位ならやってくれる」という勝手な期待。
栗原瑞希(8位)
姫山は彼女に「本当は1位じゃない」と漏らしていた。
担任・甲斐原(10位)
姫山が「1位が苦しい」と相談したが「俺なんか10位。1位にアドバイスできない」とかわしていた。
峠谷陽茉莉(21位)
「序列を送った人はクラスにいる」
山根(25位)
犯人だと嘘をつくが否定される。
三宅(11位)
職員室PCから送信したが作成者ではない。
廊下で拾った紙を使った。
序列の真相
20位・廿日市くるみが「序列を作ったのは私。でもこれは序列じゃなくて、発言しそうな人ランキングだった」と告白する。
彼女は1年時、姫山のネット日記を見つけ、やり取りをしていた。
姫山は「1位になりたい」と強く望んでいた。
理由は7歳上の姉への憧れ。
姉は何でもできる存在だった。
だが姉は自殺してしまった。
姫山は「1位になれば姉の気持ちが分かるかもしれない」と考えていた。
廿日市はその願いを叶えるため序列を作り、三宅に拾わせ、拡散させた。
結果、姫山は1位になった。
池永の告白
19位・池永柊夜。
姫山とは小学生時代、電車好き同士で仲良しだった。
姫山が死んだ翌日に全員分の遺書が郵送されてきてそれを配ったのだった。
しかし、これは姫山が書いたものじゃないという。
なぜなら、姫山は彼を「周ちゃん」と呼んでいたが、遺書には「柊ちゃん」と書いてあった。
絹掛の証言
不登校の絹掛が教室に来る。
姫山のネット日記にはクラス全員の観察記録があった。
つまり、このネット日記さえ見ればクラスの誰でも遺書を書けたことになる。
実際、遺書は日記の文章と一致していた。
遺書を書いた犯人は...廿日市。
姫山の本当の苦しみ
1位にされた姫山は、こう扱われていた。
「1位だから学級委員」
「1位だから主役」
「1位なのに普通の成績」
「1位なのに足が遅い」
過度な期待、勝手な失望、理不尽な要求・・・理解者はいなかった。
日記の最後にはこう書かれていた。
「私はD組を愛している」
彼女はクラスを愛していた。
だから死に場所に学校を選んだ。
最後の告白
廿日市はさらに語る。
姫山が転校した理由は姉の自殺だった。
姉の感じた1位の重圧を知るために姫山は1位になった。
そして、その重圧に耐えられなかった。
ラスト
2年D組は「手紙 ~拝啓15の君へ~」を合唱する。
廿日市は水槽の中の教室を見つめながら呟く。
「人間観察、いい趣味でしょ。いつまでも見守っている。姫山さん」
そして黒板に「2-D 新序列」が貼りだされたシーンで物語は終わる。
作品が突きつけるテーマ
この物語が描いたのは、
・評価されることの暴力性
・1位という呪い
・他人の期待というプレッシャー
・本音を隠して生きる息苦しさ
・「愛している」と言いながら誰も救えなかった現実
姫山は1位になりたかった。
だが、1位であることは自由ではなかった。
この作品が伝えたかったこと
『遺書、公開。』が問いかけるのは、現代の社会や人間関係の根底にある 「序列」と「本音」 についてだ。
序列は単なる数字であるはずなのに、人はそこに 価値観や優劣を見出してしまう。
人気、能力、評価。
それらがクラスというミクロな社会で可視化された瞬間、友情も信頼も簡単に崩れ去ってしまう。
作品は、他人からどう見られているか、自分は本当は何者なのか、誰にも言えない秘密と向き合うこと、といった、人間の心理の深淵を容赦なく映し出す。
遺書を「公開」するという象徴的な行為は、人と人との関係において本当の自分をさらけ出すことの恐怖と孤独を突きつける。
そして同時に、人は他者の目を恐れるあまり、自分自身を見失ってしまうことがある という現代社会への鋭い問いかけでもあるだろう。
締め
序列が描き出す集団心理の暴走と、個々の秘められた本音を通して、私たちが普段抱える不安や弱さ、そして他者との関係性を問い直す現代的な哲学劇と言える作品だ。