2025年上半期、SNSやレビューサイトで「神映画」「魂が削られた」との声が飛び交った映画『国宝』。
Filmarks上位、観客動員486万人、興収68億円超という数字も並び「観ないと損!」とまで言われるほどの社会現象に。
でも――
そこまで絶賛されるほど本当にすごいの?
そんな素朴な疑問から、今回はこの映画を“冷静に、徹底的に”掘り下げていきます。

(国宝 公式HPより引用)
- まずは基本情報から
- 世間の“圧倒的高評価”は事実
- じゃあ、何がそんなにすごいのか?
- でも、冷静に見たらどう?
- テーマ性の深さ:本当の核心はここ
- 結論:万人向けではない。でも“刺さる人”には一生モノ
- こんな人には超おすすめ!
- 最後にひとこと
まずは基本情報から
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原作:吉田修一『国宝』(第70回毎日出版文化賞)
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監督:李相日(『悪人』『怒り』)
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脚本:奥寺佐渡子
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主演:吉沢亮(喜久雄)、横浜流星(俊介)
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共演:渡辺謙、田中泯、高畑充希、森七菜、瀧内公美ほか
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公開日:2025年6月6日
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上映時間:175分
歌舞伎の世界に生きた一人の天才と、そのライバルとの50年にわたる人生を描く壮大な人間ドラマです。
世間の“圧倒的高評価”は事実
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Filmarks初日満足度1位
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2025年上半期ランキング1位(ciatr調べ)
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Twitter(現X)での絶賛:「神映画」「魂が削られた」「この演技は国宝」
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各種レビューでも「観てよかった!」「3時間が短い」と高評価続出
観客の多くが「没入感がすごすぎて、ポップコーンを食べるのを忘れた」と語るほど、映像・演技・構成すべてにおいて熱狂的な支持を得ています。
じゃあ、何がそんなにすごいのか?
◆(1)主演2人の“魂を削る演技”
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吉沢亮は「喜久雄という役を生きた」と評され、鬼気迫る演技は「寿命を削った」とさえ言われるほど。
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横浜流星の「曽根崎心中」の舞台シーンでは、“足を抱えて覚悟を表す”演出が多くの観客の心を撃ち抜きました。
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特にクライマックスでの二人の絡みは「呼吸を忘れた」「脳に焼き付いた」との声多数。
💬「2人の共演だけでお金を払う価値があった」
(観客レビューより)
◆(2)脇役のインパクトが異常
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田中泯(人間国宝・小野川万菊):「表情ひとつで呪いと狂気がにじみ出ていた」「怖すぎて鳥肌」。
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中村千五郎役(中村歌昇)は「たった数分で世界観をかっさらう存在感」
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瀧内公美の登場はほんの一瞬ながら、ある種の“残酷さ”と“哀しみ”が静かに胸に刺さる。
この脇役たちの異常な濃度が、物語全体の深みを作り上げています。
◆(3)映像と構成の美しさ
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美術は『イノセント・ワールド』『キル・ビル』などを手がけた種田陽平。
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撮影は『別れる決心』などを手がけたソフィアン・エル・ファニ。
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舞台の場面だけでなく、雪、光、衣装、背景の“引き”まで「絵画のよう」と絶賛。
💬「もはや絵画。芸術映画を超えて、“美に狂う映画”だった」
でも、冷静に見たらどう?
絶賛の嵐の中にも、冷静な視点の感想は確かに存在します。
◆「よく出来てはいるが…完璧ではない」
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「長尺のわりに物語にややメリハリがない」
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「メッセージ性がやや“説明的”に感じる」
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「歌舞伎の描写がリアルすぎて逆に重い」
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「伝統と血筋を描く一方で、現代との接点が薄い」
特に、歌舞伎の“血筋と継承”というテーマは観客によって解釈が割れる部分で、「本当にその壁を超えたのか?」という疑問も一部にあります。
テーマ性の深さ:本当の核心はここ
『国宝』が単なる“芸道映画”に留まらない理由は、深い主題にあります。
| テーマ | 表現された姿 |
|---|---|
| 努力と才能 | 喜久雄の努力 × 俊介の“血”の才能 |
| 宿命と業 | 父を殺した少年が、芸の世界で生きる皮肉 |
| 赦しと継承 | 敵だったはずの2人が舞台で交わる終幕 |
| 芸と命 | 芸のために命を捨てるように生きる人生の凄み |
このあたりの描きが好きかどうかで、この作品が「傑作」か「やや重たい映画」か、評価が分かれると言えるでしょう。
結論:万人向けではない。でも“刺さる人”には一生モノ
映画『国宝』は確かに“国宝級”の作品です。
ただし、それは**「誰が観ても楽しいエンタメ」ではなく、「覚悟して向き合う価値がある映画」**という意味で。
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映像美と演技力は疑いようもなく一流。
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重厚なテーマ、3時間の没入感、圧巻の舞台描写。
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しかし、軽やかさや爽快感とは無縁で、人によっては“重すぎる”と感じるかもしれません。
こんな人には超おすすめ!
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「魂のこもった演技」を見たい人
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「努力・才能・血筋」といった深いテーマに惹かれる人
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伝統芸能や芸道ものが好きな人
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3時間の重厚な映画体験に耐えられる人
最後にひとこと
映画『国宝』は、派手なCGもないし、アクションもない。
でも、人間の深層と、芸にすべてを賭けた人生の重みを描いた傑作です。
「本当にすごいの?」と疑った人こそ、ぜひ冷静に観て確かめてみてください。
観たあと、あなたもたぶんこう呟くはず――
「……これは、“本物”だった」。