老後の資金問題は他人事ではない!
2021年公開の映画『老後の資金がありません!』は、節約・家計・冠婚葬祭・失業など現代日本のリアルな暮らしを、ユーモアと感動を交えて描いたヒューマンドラマです。
主演・天海祐希を中心に、等身大の家族の奮闘が共感を呼ぶ本作を徹底レビューします。

※本ページはネタバレを含みます。
※本ページはプロモーションが含まれています。
作品概要
公開日:2021年10月30日(土)全国公開
監督:前田哲(『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』など)
原作:垣谷美雨『老後の資金がありません』 中公文庫(ベストセラー小説)
ジャンル:コメディ/ヒューマンドラマ
上映時間:約114分
配給:東映
出演者(キャスト)
後藤 篤子:天海祐希 — 主人公、節約をモットーに老後資金を貯める主婦
後藤 章:松重豊 — 篤子の夫、サラリーマン
後藤 芳乃:草笛光子 — 浪費家の姑
まゆみ:新川優愛 — 篤子の娘
勇人:瀬戸利樹 — 篤子の息子
その他:加藤諒、柴田理恵、若村麻由美 ほか多数
ストーリーネタバレ解説
普通の主婦・後藤篤子の悩みは、ある日突然、現実味を帯びて目の前に迫ってきました。
それは、娘・さやかの結婚です。
喜ばしいはずの出来事。
しかし見積もりを見た瞬間、篤子は目を疑います。
結婚式費用、600万円。
しかも親が負担?
夫・章は、家計に無頓着なくせにこういう時だけ声が大きい。
「一生に一度のことなんだぞ。両家で折半して300万。そのくらい家にもあるだろ」
しかし現実は甘くありません。
章の定年まであと3年。
65歳まで働けると言っても、再雇用や退職金が確実とは言えない時代です。
篤子はパートで働きながら、コツコツと老後資金を貯めてきました。
その最後の砦に手を出すことには、どうしても抵抗があるのです。
さやかの婚約者・松平琢磨は、生真面目そうな青年。
岐阜でスーパーを営む実家を持ち、結婚式は派手婚希望。
篤子は、娘の器量のことを密かに心配していた身。
縁談がまとまったこと自体は嬉しいが、費用を少しでも減らせないものか……。
息子・勇人は大学4年生。
最後の授業料を払い終え、やっと子育て終了と安堵していた矢先。
老後はお金にも時間にも余裕ができるはずだったのに・・・
そんな時、夫の妹・櫻堂志々子から舅の危篤を知らされます。
夫の実家は元・浅草の和菓子屋。
店を畳み、九十九里に移住。
しかし舅は肺気腫、姑は軽い脳梗塞を発症し、高級ケアマンションに入居中。
入居費に資産を充て、家賃月30万円は年金と、章と志々子が各9万円ずつ仕送りしていました。
志々子は、これまでの介護費の領収書を見せながら言います。
「うちの方が負担してるのよ。兄さんが葬儀を取り持って」
章はあっさり言い放ちます。
「長男だから当然だよ」
追い打ちをかける現実
営業所閉鎖で、篤子はパートを失います。
失業保険で食いつなぐ日々。
そして結婚式当日、号泣する章。
篤子は、幸せな空間の中でどこか不安を抱いていました。
結婚費用はきっちり折半。
老後資金は確実に削られていきます。
舅の葬儀も、見栄を張ったことで想定以上の出費に。
一周忌、三回忌、七回忌……先の法事も頭をよぎります。
貯金1,200万円
→ 結婚で500万
→ 葬儀と墓で400万
→ 残り300万円以下
美容院で読んだ記事が蘇ります。
「老後の資金は最低6,000万円必要」
そして決定打。
「俺の会社、もうダメらしい」
章、リストラ。退職金ゼロ。
篤子は叫びます。
「老後の資金がありません!」
節約地獄と姑との同居
モップ解約、新聞停止、車売却、交際費カット。
さらに姑・芳乃のケアマンション代9万円の振込日。
篤子は志々子に直談判しますが、売り言葉に買い言葉で「うちでお義母さんを引き取ります」と啖呵を切ってしまいます。
高級志向の姑が来るはずないと思いきや、あっさり承諾。
大量の荷物と共に芳乃がやってきます。
コンビニで働き始めた篤子に、姑・芳乃の「お茶を煎れてくださる?」
ストレスは限界寸前。
しかし意外にも、芳乃は自立した性格。
遠慮し合っていただけだったと分かります。
ただし、パンはメゾンカイザー、お茶は知覧茶、羊羹は虎屋などこだわりは強烈ですが・・・。
年金詐欺騒動
友人サツキからの相談「行方不明の姑の身代わりをしてほしい」
最初は10万円。
芳乃は面白がって引き受けます。
味をしめたサツキは、次々依頼を持ち込む。
県会議員だったという高額年金の替え玉依頼。
しかし職員がネット検索を示唆。
芳乃は即撤退。
「お金は一円もいりません」
さすがに懲りる一同。
家族の再生
志々子は、芳乃との仲の良さに嫉妬し、母を頻繁に連れ出すようになり、やがて「母をうちで面倒みたい」と申し出ます。
篤子は少し残念に思いながらも承諾。
行方不明だったサツキの姑も無事帰還。
サツキ夫婦は沖縄へ移住し、畑仕事を始める決意。
章も再就職を決意。
意地を捨て、昔の同僚に頭を下げます。
そして、未来へ
久しぶりに家族全員集合。
勇人がフルーツに歓声を上げ、琢磨のクッキーを頬張りながら、章は沖縄のパンフレットを眺めています。
まさか夫も沖縄に?と思いつつ、荷物持ちにはなるか、と笑います。
老後の資金は、まだ足りない。
でも、家族はいる。
お金は大事、でも、それだけじゃない。
それがこの物語の着地点です。
この作品が伝えたかったこと
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お金の不安は誰もが抱える現実であること
老後資金2000万円問題など、現代の日本で多くの人が直面するリアルな悩みを、コメディを交えて描いています。 -
家族の支えや絆が人生の基盤であること
篤子が苦境を乗り越える過程で、家族や友人たちとの関係が深まっていく様子は、人生の本質を考えさせられます。 -
ユーモアで悲喜こもごもの現実を受け止める勇気
苦労や困難さえも笑い飛ばし、前向きに生きる姿勢が描かれています。
まとめ
映画『老後の資金がありません!』は、身近な悩みをユーモラスに描いた家族ドラマです。
豪華キャストの演技やテンポの良い展開、そして笑いと感動がバランスよく溶け合うストーリーは、多くの人に共感を与えます。
老後のお金や家族との絆について考えたい人にとって、心に残る作品です。