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【「新参者」シリーズの完結作】「祈りの幕が下りる時」ネタバレ~解説

 

基本情報

公開 2018年1月27日
監督 福澤克雄
脚本 李正美
原作 東野圭吾『祈りの幕が下りる時』
ジャンル ミステリー

 

阿部寛主演の「新参者」シリーズの完結作。作品の公開順としては、

①2010年放送:連続ドラマ『新参者』
②2011年放送:SPドラマ『赤い指』
③2012年公開:映画『麒麟の翼』
④2014年放送:SPドラマ『眠りの森』
⑤2018年公開:映画『祈りの幕が下りる時』

という感じで、5作目となっています。
前もって①~④を見ていなくても単体の映画としてじゅうぶん楽しめますが、①~④を見ていると登場人物の関係性がわかるのでより入り込めます。

 

また、監督の福澤克雄さんは、元ラグビー選手で、現TBSテレビ・制作局ドラマ制作部所属のテレビドラマのディレクター・演出家・映画監督。
ドラマ『3年B組金八先生』『半沢直樹』や映画『私は貝になりたい』などを担当しており、実績はお墨付き。

キャスト

加賀恭一郎 - 阿部寛・・・主人公、警視庁日本橋署刑事。

松宮脩平 - 溝端淳平・・・加賀の従兄弟であり、加賀と共に捜査にあたる。

浅居博美 - 松嶋菜々子・・・事件のカギを握る美しき舞台演出家。

浅居忠雄 - 小日向文世・・・浅居博美の父親。

金森登紀子 - 田中麗奈・・・看護師。加賀の父親である隆正を看取った。

加賀隆正 - 山﨑努・・・亡くなった加賀の父親。

田島百合子 - 伊藤蘭・・・失踪した加賀の母親。

浅居厚子 - キムラ緑子・・・行方不明になっている博美の母。

大林 - 春風亭昇太・・・警視庁捜査一課刑事。

など。

ここからネタバレ! 本編詳細~解説

発端

葛飾区にあるアパートで死後20日程の女性の絞殺死体が発見された。

その女性が滋賀県に住む押谷道子だということは判明したが、その部屋に住んでいるはずの越川睦夫は行方不明。

この事件を担当することになったのが松宮脩平(溝端淳平)。

押谷とほぼ同じ時期に起こったホームレス放火殺人事件の死体にも絞殺された形跡があった為、松宮は「押谷とホームレス放火殺人の2つの事件は同一犯で、このホームレスが越川じゃないの?」と推理。

さっそくDNA鑑定をするが・・・ホームレスと越川睦夫は別人。

松宮が捜査のために押谷の暮らしていた滋賀へ向かうと、押谷が東京に行った目的が判明。

その目的とは、押谷の中学時代の同級生であり、今は明治座で演出家として活躍している浅居博美に「介護施設にいる博美の母・厚子を引き取ってほしい」と伝えること。

早速博美に話を聞きに行くと「確かに押谷と会った」との事!

事件解決への大きな一歩!と思いきや、事件当時は明治座にいた為アリバイが・・・。
また振り出しか・・・と思った松宮は部屋に飾られている”ある物”に気づく。
それは、剣道着姿の加賀(阿部寛)が子ども達・博美と一緒にうつっている写真

さっそく加賀に聞いてみると、何年か前に博美から子供への剣道指導をお願いされたとの事。

その後、加賀は松宮に「DNA鑑定をかく乱するために残留品をすり替えている可能性がある。もう1度別の物で鑑定をしたほうが良い」とアドバイス。
そして再度DNA鑑定を行うと、越川とホームレスが同一人物であることが判明
捜査は大きく動き出す。

事件と加賀の過去が繋がる

加賀の母・百合子は、加賀がまだ小さいときに突然姿を消してしまった。
そんな母・百合子が亡くなったという連絡が、16年前に宮本という女性から突然来たのだ。

宮本から生前の百合子の話を聞くと、百合子は家を出た後、仙台市で宮本が経営するスナックで働き、そのスナックで出会った綿部俊一という男性と穏やかに過ごしていたらしい。
加賀は、母と深い仲だった綿部と直接話をしたかったが、百合子が亡くなった後、宮本も綿部と連絡が取れなくなっていた。

百合子の遺品のカレンダーには、1月~12月のそれぞれの月に日本橋周辺の橋の名前が1つずつ書いてあった。
加賀は、このカレンダーの謎を解き明かすために日本橋署に長く留まっていたのだ。

そして、松宮から同じ内容のメモ書きが越川の部屋のカレンダーにもあったと聞いた加賀は大興奮。

2つのカレンダーの筆跡鑑定をすると・・・一致!

さらに、百合子の遺品についていた指紋と越川の指紋が一致したことで、越川睦夫=綿部俊一が確定

少しずつ相関図が見えてきました。

 

博美の過去

博美がまだ子供のとき、母が借金をつくり家を出て行った。
父・忠雄は博美と夜逃げを決行。

フラフラと旅を続ける中で、延暦寺のポスターを見た忠雄が「延暦寺の坊主は寺に火を放って焼け死んだらしいけど、焼け死ぬのだけはゾッとするなあ」とつぶやいた。

その後2人は定食屋で横山一俊という原発作業員と出会う。
横山は博美に「お小遣いをあげるから後で車に来なよ」と誘うが、博美は車に行くことなく忠雄と旅館へ。

しかし、その旅館は高級旅館。

忠雄は「お金は大丈夫になったんだ」と言うが、忠雄が風呂に入っている間に財布を調べるとお金はほとんど入っていなかった・・・。

博美は旅館を飛び出し、お金のために横山の車へ走った。

横山に車の中に連れ込まれたが、しばらくして博美は車から逃げ出した。それと同時に向こうから忠雄が現れ、博美の異変に気付く。
博美の手は血で汚れていた。

車内で横山に襲われた博美は、箸で横山を刺して殺してしまったのだ。

そして、博美を守るため、忠雄は今後「横山一俊」として生きることを決意。
偽名で手紙を送ると約束して2人別々の生活が始まる。

手紙のやりとりは続き、博美は女優を目指して東京へ上京したこと、忠雄は宮城で恋人(=加賀の母・百合子)ができたことなどを書いていた。
手紙だけでなく、たまにホテルや公園などで密会もしていたが、その密会が博美の交際相手である苗村という男性に気づかれ「浅居忠雄さんですよね?」と声を掛けられてしまう。
正体が世間にばれることを恐れた忠雄は苗村を殺害。

これ以降「人混みの中で少し距離をとって電話で会話する」という方法で会うようになった。
会う場所は日本橋付近の橋で1月~12月でそれぞれ違う橋。
忠雄は恋人である百合子のカレンダーに橋をメモしていた。
そして、百合子が亡くなり忠雄も上京。

越川睦夫として生活し、越川の部屋のカレンダーにも橋をメモ。
こうして同じメモ書きがされたカレンダーが2つ作られたのだった。

(ここまで読めばわかるが、浅居忠雄=横山一俊=綿部俊一=越川睦夫となる)

 

数年後、博美の念願だった明治座公演日に駆け付けた忠雄。
しかし、忠雄は博美の同級生である押谷道子に気づかれてしまう。本当に運がない・・・。

忠雄は道子をアパートに連れ込み殺害。

忠雄は博美と待ち合わせをし、いつものように電話で会話をしていた。
だが、博美は忠雄の様子がおかしいことに気づき、電話が終わった後も忠雄の後をつけていた。

するとそこには、焼身自殺しようとする忠雄の姿が。

博美は必死に止めるが、忠雄は「もう逃げ切れない」「身分を偽る人生に疲れた」「遺体から身元が判明しないよう焼身自殺する」と言い決意は固い。
この時に博美が思い出したのが忠雄の「延暦寺の坊主は寺に火を放って焼け死んだらしいけど、死ぬとしても焼け死ぬのだけはゾッとするなあ」というつぶやき。
博美は忠雄が焼身自殺をしなくても良いように、自分の手で忠雄を殺し、その場に火をつけたのだった。

時は戻り、現在

博美は、自分の前に再び現れた加賀を見て「加賀がすべてを知ったこと」を悟った。

そして、自身演出の舞台公演がすべて終わった後、警察に連行されながら忠雄からの預かり物を加賀に渡した。
それは、加賀が表紙の剣道雑誌と忠雄からの手紙。

その手紙には、加賀の母・百合子が鬱で苦しんでいたこと、加賀を道連れに自殺してしまうかもと思い姿を消したこと、加賀が表紙の雑誌を見て喜んでいたことなどが書かれていた。

母の残したカレンダーの謎が解決し、加賀は日本橋署から警視庁に戻ることとなった。

感想

時系列がいったりきたりして少しややこしいですが、謎が少しずつわかっていく感じが気持ちよく2時間があっという間。
親子の絆の形に正解はないんだなと感じました。

タイトル「祈りの幕が下りる時」の意味は?

タイトルの意味に関して映画の中にはっきりとした表現はなかったですが、

・博美の演出舞台が全ての公演を終え幕を下ろしたこと。
・博美が忠雄の長い逃避生活の幕を下ろしたこと。
・加賀の母の謎を追う生活が幕を下ろしたこと。

など複数の想いが入っているんだと思います。

 

『「祈りの幕が下りる時」レビュー』最後まで読んでいただきありがとうございました!

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